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旬の話題 [小説のこと]

なんてこったい全開。

どんな業界にもアイデア競争というものがある。
いくらすごいアイデアであっても
ただ頭の中にあるだけで形になっていなければ
それは無意味に等しい。
いわゆる「俺もそう思ってた」というのは
負け惜しみとしか取られないのが常である。

音楽しかり、美術しかり、文芸しかり。
例えばミステリー小説を書いている人で
自分が考えたのと同じトリックを誰かに先に使われるのではないか
と怯えない人はいないと思う。
私はミステリー作家ではないし、ミステリーを書こうとも思わない
(実際には書けない)けれど、それに似た恐怖は味わう。
それが話題の旬はずれという奴だ。
私の書いたものを読んでくださっている方は御存知だと思うけれど
私は作中に、けっこう時事ネタを入れる。
自分自身が関心を持っている問題について
なんとなく取り入れたくなってしまうのだ。
ただ、それは物書きにとっては諸刃の剣でもある。
タイミング良く刊行されれば、ああこの問題ね、話題になってるよね、
なんて、読者の方も頷きながら読んでくださるだろうけれど
ちょっと時期を外せば、古いネタだなあーなんて思われかねない。
それ以上に他の作家さんに、同じ問題について自分と同じ角度から見て
同じような見解を述べられてしまうと、うわーーー! となる。
これ、パクリだと思われないだろうか……なんて不安になるのだ。
もちろん、パクリではなく「影響を受けている」という
優しい表現をしてくださる場合も多いけれど、要するに
『他にも書いている人がいるよね、しかもあっちが先だよね』
ということなのだ。
これはかなり辛い。
そんなこと全く気にしない書き手もいらっしゃるのだろうけれど
少なくとも私にとってはとても辛いことである。

仕事を引き受け、原稿を書き、それが書籍として刊行されるまでには
早くても半年、通常はもっと長い月日が必要となる。
『旬の話題』を扱う場合は、それが一年後も読者の方の関心を引ける話題かどうか
かなり真剣に考える。
料理の場合は、なんとか同じ季節に当たるよう努める。
刊行と同時に読んでくださる方ばかりではないとわかっていても
そうせずにはいられない。
我ながら、なんて面倒くさいこだわりなんだと思うが
これが私なんだから仕方がない、なんて開き直っている。

春に出る本にはせめてひとつぐらい春らしい話題を
時事問題を扱うときはそれが廃れないうちに
何気なく書いた問題が、刊行直後に話題になって
大ラッキーなんてことが起こらないかな―などと思いつつ
今日もパソコンのキーをぱたぱた叩いている。
でもまあ、世の中そんなに上手くはいかない。
だからこそ面白いし、だからこそじれったい(苦笑)

ということで、ここで密かに今後のご連絡。
どこから何がとは申し上げられませんが
三冊ぐらい秋にまとまって刊行となりそうです。
(詳細については版元さんの許可があり次第ご連絡致します)
できれば全部お手にとっていただきたいとは思いますが
お金も時間も有限。
少なくとも三冊、立て続けに刊行になることを踏まえて
お選びいただけると幸いです。
(てなことを書くと版元さんに袋だたきされそうですけど……)



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パンとカラス [日常]

お気の毒としか言いようがない。

例によって衝動に駆られまくって某書店へ。
最近私が出入りする書店は圧倒的に
ショッピングセンター併設型が多いのだが
この書店だけは独立店舗。
但し、レンタルショップが併設されているので
広い駐車場と駐輪場を持っている。

週末の午後、折良く帰省していた夫とふたりで
一抱えほどの本を買い込んで店から出てきた。
ところが、やれやれ、と車に向かった私の目の隅で
なにやら黒いものが動く。
あれ? と思ってそちらを見るとなんとカラス。
しかも停めてある自転車の後ろカゴに止まっている。
ただ止まっているだけでも相当珍しい絵柄なのに
件のカラスはなにやらばたばた羽ばたきながら作業中。

いったい何をやっているのだろう……?
と観察していると、しばらく後どわーっと飛びだった。
カラスの口にはカゴから引っ張り出したと思われるパンの袋。
透明なビニル袋に三つぐらいパンが入っている。
いわゆる製パンメーカーのものではなく
自店舗で焼き上げるタイプのベーカリーで買ったのだろう。

カラスは袋を取り出すことに成功したものの
袋の口はちゃんと締まっていて、パンを取り出すことはできない。
どうするのだろう? と思っていると
カラスはその袋を車道、しかもちょうど車のタイヤが通るあたりに運んだ。
しかるのち、自分は少し離れた場所へ。
車はどんどん通り過ぎ、やがて袋の端っこを轢いた(たぶん)
カラスは大喜び(かどうか知らないが)で袋のところに飛んでいき
くちばしで広げた穴から一個のパンをゲット、意気揚々と飛び去った。
車道に袋に入ったままのふたつのパンを残して……

おまえ、それは、ないだろう!
と思わずドリフターズの誰かみたいになりそうになった。
ひとつでいいなら、何も袋ごとぺっちゃんこにしなくてもいいじゃないか。
人間に匹敵するぐらい頭がいいと言われるカラスなんだから
なんとかひとつだけ取り出して、残りを返すぐらいのことはしろよ!
もしあの自転車の持ち主が、非常に生活の困窮していて
なけなしのお金で買ったパンだったらどうするんだ!
家ではお腹を空かせた子どもたちが待っていて
「ほら、パンだよ! 半額のタイムセールが始まるまで待ったから
三つも買えたよ!」
なんて満面の笑みで取りだそうとしたのに、自転車カゴにはパンがない。
まさかカラスの仕業なんて想像もしないだろうから
手癖の悪い人間の仕業だと思い込んで人間不信。
お腹を空かせた子どもは泣くし、きっと途方に暮れまくり……

なんてなことを、つらつらと考えていた。
そんなことをしている間にカラスを追い払って
パン略奪を未然に防ぐべきだったのかもしれないが
あのカラスはカラスでお腹を空かせた子カラスたちが……
(以下略)

カラスとて生きていかねばならないし
カゴの中に買ったものを放置した人間にも非がある。
なによりカラスの餌集めを妨害して攻撃されるのも怖い(本音)
ということで、あの自転車の持ち主が、今後はもう少し用心深くなってくれることを
祈りつつ、私は駐車場を後にしたのだった。




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〆切と〆切の間で [日常]

なんとかセーフ。

なんやかんやでもう六月。
もうだめかも……とへこたれながらも
なんとか約束の期限までに原稿をまとめ上げて送信。
相変わらず中身はとんでもなくて
削ったり足したりが大変そうな仕上がりだったけれど
とりあえず〆切までに書き上げた自分を褒めたい。
自分で褒めないと誰も褒めてくれないからね(苦笑)

これ、改稿指示出す方は大変だろうなーなんて
まるで他人事の感想とともに
執筆予定表のタイトルを赤線で消す。
その充実感と言ったらない。
あーよかった、ひとつ終わった……
今年に入ってから引いた線は二本。
残っているのはあと三本。
物書きになるのは簡単だけれど、物書きで居つづけるのは大変
なんて言葉が頭をよぎる瞬間である。

普段なら作品と作品の間で
ちょっと旅に出るぐらいの時間はあるのだけれど
今回は本当にぎりぎりだったために
終了即開始、みたいなことになってしまった。
でもまあ自業自得と諦めて次の作品へ。
担当編集さんに無理を言ってすぐに打ち合わせ
どたばたと資料を送っていただいて
ばたばたと書き始めた。
当然中身もどたばた……
でもいいんだ、これは元々高校生のどたばたものだから!
などと自分に温く言い訳して苦笑。

あと何年こんな風に書かせていただけるかはわからないけれど
引き受けた以上は遅れることなく仕上げていきたい。
中身が保証できないのだから期限ぐらい守ります、
と言い続ける腐れ物書き。

「あー原稿? 気が乗らないから待っててよ」

なんて言い放てるぐらいの大御所になってみたいものである。




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